胆道
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会長講演
胆道外科医としての歩み―肝切除から膵頭十二指腸切除まで―
千々岩 一男
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2012 年 26 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

要旨:近年,胆道疾患に対する診断と治療法は著しい発展をとげてきた.胆石症や急性胆嚢炎・胆管炎などに対しては,それぞれ腹腔鏡下手術や緊急胆道減圧ドレナージが広く定着し,その治療成績は向上した.しかし,我が国における癌の種類別死亡数が6番目に多い胆道癌に対する予後は,診断,周術期管理,外科手術法が発達したにもかかわらず進行期で発見されることが多いため,未だ不良である.今回の会長講演では,胆道癌の診断と治療の現状と問題点を講演した.胆道癌で多く出現する閉塞性黄疸下肝切除後の肝再生不良の機序を分子生物学的に検証し,術前胆汁内瘻の有用性,胆道ドレナージの時期としては進展度診断を終えてから行うことの重要性を述べた.また,肝門部胆管癌,中下部胆管癌,胆嚢癌の外科治療と幽門輪温存膵頭十二指腸切除後胃内容停滞の再建経路による比較を,我々の教室の成績を基に概説した.

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© 2012 日本胆道学会
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