胆道
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総説
胆道癌周術期の感染症対策
牧野 勇田島 秀浩北川 裕久中川原 寿俊宮下 知治太田 哲生
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2013 年 27 巻 5 号 p. 805-810

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抄録

胆道癌は胆道の狭窄や閉塞によりしばしば閉塞性黄疸や胆道感染を合併する.胆道感染は重篤な敗血症やエンドトキシン血症につながりやすいうえ,胆道感染の制御が不十分なまま手術に臨むと術後に重篤な感染性合併症や肝不全をきたして治療に難渋する結果となる.本稿では,まず胆道癌患者の周術期管理で重要となる術前胆道ドレナージに関するコンセンサスとして,ドレナージの適応や方法,管理上の注意点について解説する.次いで現時点で有効とされている周術期感染症対策として,術前の胆汁感染の管理や外瘻胆汁の返還,周術期栄養管理に関して当科の取り組みもまじえて解説する.最後に最近のトピックスとして,術前化学(放射線)療法に関する知見および,胆道癌と血液凝固異常に関する知見を提示する.胆道癌手術においては,今回提示するような種々の周術期感染症対策を行ない,感染性合併症を制御することが治療を成功させる上で極めて重要である.

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© 2013 日本胆道学会
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