抄録
ポルフィリン症はヘム合成酵素の遺伝子異常で引き起こされる疾患である.光線過敏症を伴うポルフィリン症患者に胆嚢結石・総胆管結石の手術を施行したので報告する.症例:59歳男性.既往歴:20歳時に異型ポルフィリン症と診断.現病歴:胆石発作が出現し,急性胆嚢炎の診断で緊急入院した.ポルフィリン症のため緊急手術やドレナージは危険と判断し,保存的に加療した.後日手術目的に再入院した.画像:胆嚢の腫大,壁肥厚あり.胆嚢管と総胆管に結石を認めた.本症例は光線過敏症を伴うポルフィリン症であり,周術期には禁忌薬剤を使用せず,光線過敏症の原因となる波長の光を避ける必要があった.そのため腹腔鏡は使用せず,無影灯やヘッドライト,モニターにもフィルターを取り付けて手術を行った.術中は照明の波長測定も行った.術式は開腹胆嚢摘出術と総胆管切開切石術.術後に急性発作はなく順調に経過し,第8病日に退院した.万全の対策により安全に手術を行うことができた.