2013 年 27 巻 5 号 p. 828-834
胆嚢摘出術における術中胆管損傷は比較的稀であるが,術後早期に胆汁漏,晩期に胆管狭窄などを合併する深刻な合併症である.我々は当科における術中胆管損傷8症例を検討した.損傷発覚時期は7例が手術中,1例が術後7日目であった.損傷の程度は胆管径の1/3周未満の損傷(裂傷)が6例,1/3周以上の損傷(離断)が2例であった.異所性胆管を4例,胆嚢炎症例を6例と高率に認めた.損傷に対する治療は,裂傷例と1/2周離断例では損傷胆管を縫合し減圧チューブを留置した.細い異所性胆管を完全離断した症例ではその還流領域が狭いことから,クリップにより両断端を閉鎖した.損傷修復後の転帰は,2例に胆汁漏を合併した.総肝管を1/2周離断した1例では術後18カ月間留置した減圧チューブ抜去後に狭窄を認め現在もチューブ留置中である.