2013 年 27 巻 5 号 p. 835-841
セフトリアキソン(CTRX)の投与が胆泥形成に関わることは,主に小児を中心に報告され,広く知られている.我々は,細菌性髄膜炎に対するCTRXの高容量・長期間投与により胆石が形成され,投与の中止により自然消失を確認し得た高齢者の2例を経験した.1例は総胆管結石による閉塞性胆管炎を併発したため,内視鏡的ドレナージを要したが,1例は経過観察のみで自然消失を確認し得た.CTRX中止から胆石消失に要した期間はそれぞれ21日間,38日間であり,両者ともそれ以後胆石の再発は認めていない.CTRX投与時には胆泥が形成されやすく,小児だけでなく高齢者にも発症し,時には重症化しうる合併症を併発する可能性のあることを念頭において診療にあたることが必要である.