抄録
印刷会社勤務での有機溶剤曝露歴を有する肝内胆管癌の一例を経験した.症例は37歳男性で,20年間の勤務歴を有していた.肝機能障害を主訴に前医を受診し,肝内胆管癌の診断となり当院へ紹介された.S5,S3,S8に多発する腫瘤と肝門部および傍大動脈リンパ節転移を伴っており,化学療法を施行した.印刷労働者にみられた胆管癌については,前癌病変が広範囲にみられる等,通常の肝内胆管癌とは異なる特徴を有している可能性があり,その特徴を明らかにしていくことは,その社会的背景からも非常に重要である.今回,病因,特徴,治療法について文献的考察を加え検討したので報告する.