胆道
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症例報告
造影超音波検査が肝浸潤を伴う胆嚢癌との鑑別に有用であった黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例
竹山 友章松原 浩浦野 文博藤田 基和内藤 岳人田中 浩敬夏目 誠治青葉 太郎
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2014 年 28 巻 5 号 p. 772-777

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抄録

症例は49歳男性.右季肋部痛,発熱を繰り返し,精査加療目的で当科紹介となった.腹部超音波検査(US),造影CT検査(CE-CT),MRIでは胆嚢壁が著明に肥厚しており,胆嚢壁内には嚢胞様構造が多発していた.検査所見から黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)と考えられたが,胆嚢壁と肝との境界が不明瞭であり,鑑別診断として肝浸潤を伴う胆嚢癌が挙げられた.造影超音波検査(CE-US)を施行したところ,造影早期相で胆嚢壁内のUS, CE-CT, MRIで認めた嚢胞様構造は非染影領域として明瞭化し,胆嚢壁実質は均一に造影された.また,異常血管は認めずXGCを強く疑った.さらに,造影後期相において胆嚢壁と肝との境界は明瞭となった.胆嚢癌の肝浸潤は否定的と考え,開腹胆嚢摘出術を施行した.術後病理所見は,泡沫細胞を主体とする黄色肉芽腫性の炎症細胞浸潤を認め,XGCと診断した.

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© 2014 日本胆道学会
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