抄録
症例は81歳,男性.15年前より自己免疫性膵炎,糖尿病にて経過観察中であったが,定期検査で肝機能障害,肝門部腫瘤を指摘され入院となった.US, CT, MRIでは肝S4に40 mmの低濃度腫瘤,肝内胆管拡張,総肝管壁肥厚を認めた.ERCPでは膵内胆管狭小化と肝門部胆管狭窄を認め,IDUSでは肝S4腫瘤から連続する肝門部胆管壁肥厚を認めた.肝門部胆管からの生検で低分化型腺癌を認め,左肝内胆管癌・肝門部胆管浸潤と診断した.外科手術を予定したが,高度せん妄と本人の手術拒否により断念した.後日PTBDルートより金属ステントを留置し,抗腫瘍療法は施行せず経過観察したが,9カ月後に永眠された.自己免疫性膵炎では肝内胆管癌に類似した肝炎症性偽腫瘍や肝門部胆管癌に類似した肝門部胆管狭窄,胆管壁肥厚を認めることがあるが,胆道癌の合併も念頭に生検・細胞診を施行することが重要と考えられた.