抄録
膵管内乳頭粘液腫瘍(以下IPMN)は稀に胆管に穿破することがある.手術手技の工夫により5年間良好なQOLを維持できた症例を経験したので報告する.症例は76歳,男性.48歳時に胃切除と62歳時に急性膵炎の既往がある.平成10年に主膵管型IPMNの診断がなされ,平成20年10月に閉塞性黄疸と敗血症性ショックで入院となる.内視鏡的胆道ドレナージは大量の粘液のため功を奏せず,緊急PTBDを施行した.頻回のチューブ洗浄が必要となったため,肝門側と十二指腸側の両側の胆管を空腸と吻合するRoux-Y再建double-bypassとBraun吻合を加えた.膵消化酵素薬投与継続により,術後5年のAlb値は4.0 g/dlと良好な数値を維持できている.本症例のような再建術式の報告はなく,5年経過した現在でも良好なQOLが得られており,切除術のリスクが高いあるいは切除の承諾が得られないようなIPMN胆管穿破例に対して有用な術式と考え報告した.