胆道
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症例報告
肝内胆管癌と遠位胆管癌の同時性重複癌の1例
大宜見 美香和泉 秀樹矢澤 直樹古川 大輔増岡 義人平林 健一小川 真実川口 義明峯 徹哉中郡 聡夫
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2015 年 29 巻 2 号 p. 285-291

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抄録

症例は62歳の女性で,黄疸を主訴に前医を受診し肝胆道系酵素値の上昇と肝腫瘍を指摘され当院受診となった.腹部超音波において肝S4/5に,末梢胆管の拡張を伴う約70 mm大の腫瘍性病変を認め,腹部CTで同腫瘍は乏血性で不均一に造影された.また,遠位胆管に壁肥厚を認めた.ERCでは左右肝管合流部の狭窄と,右側の肝内胆管の不整な狭窄と拡張を認め,擦過細胞診はclass Vであった.さらに遠位胆管に陰影欠損を認め,同部の生検の結果は腺癌であった.以上より肝内胆管癌と遠位胆管癌の重複癌と診断し,右3区域切除+亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には,肝内胆管癌は中分化型管状腺癌,遠位胆管癌は乳頭腺癌であった.肝内胆管癌と肝外胆管癌の同時性発症した例として本症例は本邦2例目であり,極めて稀な症例と考え報告する.

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© 2015 日本胆道学会
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