抄録
80歳女性.他疾患の経過観察CTで総胆管の拡張を指摘された.上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部に径約3 cmの腫瘍を認め,生検で腺癌と診断された.高齢なことやEUSやIDUSから腺腫内癌が示唆されたことから経十二指腸的乳頭切除術を施行した.病理組織学的にはadenocarcinoma(tub1~tub2)in tubulovillous adenomaで早期乳頭部癌であったが,一部Oddi筋への浸潤が認められた.断端は十分に確保されており,pEM0の切除であった.退院後外来で経過観察していたが,術後3年目に膵頭部背側,大動脈周囲,上縦隔に多発リンパ節転移をきたし,術後4年目に死亡した.十二指腸乳頭部の早期癌に対しては縮小手術も考慮されるが,今回の症例では術後病理検査でOddi筋浸潤を認めており,早期癌と考えられた症例でも縮小手術の適応は慎重に判断する必要があると考えられた.