胆道がんに対する化学療法の現状と将来について概説した.胆道がんは発生部位によって治療方針,化学療法の効果が異なる.したがって,今後腫瘍の発生部位別の臨床試験が必須である.化学療法としては現状ではゲムシタビン,シスプラチン併用療法(GC)が標準療法と位置づけられる.本邦ではS-1をベースとした臨床試験が行われることが多く,特にS-1とゲムシタビンの併用療法(GS)はGCに匹敵するレジメンとなる可能性があり,JCOGにおいて治験が進行中である.一方,分子標的薬との併用が今後の化学療法の大きな方向性である.なかでも2014年報告されたABC-03 Studyは,VEGFRに対するチロシンキナーゼ阻害剤であるCediranibをGCに付加する試験であり,生存期間の延長が期待される.将来としては,胆道がんのリスクファクターを考慮した対応も必要であり,今後有望なバイオマーカーの探索が求められる.