胆道
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原著
原発性硬化性胆管炎に合併した胆管癌
杉山 晴俊露口 利夫酒井 裕司三方 林太郎安井 伸中村 昌人佐々木 玲奈横須賀 收
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2015 年 29 巻 4 号 p. 732-737

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抄録

我が国ではPSCの胆管癌合併例の報告は少ない.当科で経験したPSC 38症例について検討した.発癌例は5例(13.2%)で,これは欧米の報告と同様の頻度であった.発癌時年齢は平均49.6歳(31-65歳),男女比3対2であった.5例中3例は非硬変肝からの発癌であり,胆管癌非合併例と患者背景に差を認めなかった.5例中3例はPSC診断時より1年前後の発癌例であり,診断から1年間は癌合併の可能性を念頭に綿密な画像診断による経過観察が必要と考えられた.PSCに合併する胆管癌には胆管狭窄を来すものと肝内腫瘤を形成するものがあり,5例中2例が肝内腫瘤を形成した.予後は不良であり,発癌の診断後平均1.04年(0.2-3.3年)で5例とも死亡した.

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© 2015 日本胆道学会
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