胆道
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原著
遠位悪性胆道狭窄に対する術前内視鏡的胆管ステント留置術の効果と諸問題
加藤 新真口 宏介高橋 邦幸潟沼 朗生小山内 学矢根 圭金 俊文安保 義恭高田 実
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2015 年 29 巻 4 号 p. 738-744

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抄録

遠位悪性胆道狭窄に対する膵頭十二指腸切除(PD)術前の胆道ドレナージが必要か否か議論となっている.プラスチックステント(PS)を用いた内視鏡的胆管ステント留置術(EBS)後にPDを施行した115例を対象に,EBSの効果,偶発症,留置後の胆管炎発生の有無とその要因について後方視的に検討した.EBSにより総ビリルビン値(平均)は6.8mg/dLから2.16mg/dLと低下し,胆管炎例は全例軽快した.偶発症の6例(5.2%)はいずれも軽症膵炎であった.EBS後胆管炎の発生は24例(20.9%)に認め,内視鏡的経鼻胆管ドレナージへの交換あるいはPSの入れ替えを要した.EBS後胆管炎の因子について多変量解析で検討した項目はいずれも有意ではなく,原因は主としてPS留置後の逆行性感染と考えられた.遠位悪性胆道狭窄に対する術前EBSは,高度黄疸や胆管炎例のほか,術前化学療法前の減黄必要例,手術待機期間が長くなる例には必要な処置と考える.但し,逆流防止機能を有した新たなPSの開発が課題である.

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© 2015 日本胆道学会
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