胆道
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原著
胆管結石治療におけるhigh risk症例に対する内視鏡的胆管ステント留置術
枡 かおり洞口 淳小林 剛伊藤 啓越田 真介菅野 良秀小川 貴央岩下 祐司路川 陽介野田 裕
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2015 年 29 巻 4 号 p. 745-751

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抄録

胆管結石の経乳頭的治療において,最終的に内視鏡的胆管ステント留置術で治療を終了したhigh risk患者24例(EBS群)の治療成績につき,完全截石を行った634例(完全截石群)と比較検討した.患者背景は,EBS群で平均年齢が88歳と高齢で,重篤な併存疾患を有する症例が91%にみられた.早期偶発症はEBS群が25%と,完全截石群10%に比して,有意に高かったが(p=0.03),いずれも内科的加療で軽快し,手技関連死はなかった.EBS群の後期偶発症は25%で,全例ステント閉塞や逸脱に伴う胆管炎で,うち2例は,敗血症で死亡した.完全截石群におけるhigh risk症例で長期観察ができた19例(high risk截石群)中,胆管結石再発による胆管炎は1例のみであった.平均胆管炎非発生期間はEBS群1377日,high risk截石群2272日とEBS群で短い傾向であった(p=0.57).High risk患者におけるEBSは長期のステント留置に伴う胆管炎の発症には十分な注意が必要である.

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© 2015 日本胆道学会
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