2015 年 29 巻 4 号 p. 815-823
経時的な画像変化を観察できた黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)の1例を報告した.症例は60歳代,男性.胆石胆嚢炎の保存的治療後の手術を目的に当科に紹介となった.発症時の腹部CTでは,胆嚢は腫大し胆嚢頚部に結石を認めた.胆嚢壁は肥厚し壁内の広い範囲に低吸収域を認めた.粘膜面はほぼ均一に造影された.その後経時的に胆嚢は縮小し,壁内の低吸収域も縮小した.しかし胆嚢壁は不整に肥厚し,一部肝実質との境界も不明瞭となった.また体底部の壁は内腔側には乳頭状に隆起し,粘膜面の造影効果も不明瞭となった.進行胆嚢癌あるいは胆嚢炎を疑い,胆嚢床切除を伴う胆嚢摘出術を施行した.病理診断は黄色肉芽腫性胆嚢炎であった.発症初期に認めた肥厚した胆嚢壁内の低吸収域と粘膜面の均一な造影所見はXGCを示唆する重要な所見と考えられた.