抄録
胆管の癌肉腫については不明な点が多いが,われわれは胆管原発の「いわゆる癌肉腫」の1手術例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は73歳,男性,黄疸と全身倦怠感を主訴に来院した.胆管造影では総肝管に20mm長の狭窄を認めた.胆汁細胞診ではclass IIであったが,肝門部領域胆管癌を強く疑って幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では15mm大の結節状の腫瘍を認め,HE染色では,癌腫部分と肉腫様成分および両者の移行部を認めた.免疫組織学的検討では,癌腫部分ではvimentinとα-SMAが陰性,肉腫様部分ではEMAが陰性であり,一部でpancytokeratinが陽性であった.このことから本例は胆管原発の「いわゆる癌肉腫」であると診断した.患者は術後8カ月で原病死した.