胆道
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症例報告
胆管腺筋腫症の1例
栗原 啓介芹川 正浩石井 康隆清水 晃典壷井 智史辰川 裕美子宮木 英輔河村 良太津島 健茶山 一彰村上 義昭有廣 光司
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キーワード: 胆管, 腺筋腫症, 胆道鏡
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2016 年 30 巻 5 号 p. 895-902

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抄録

症例は63歳男性.胆管狭窄精査目的に当科に紹介された.造影CT検査で中部胆管に造影効果を伴う壁肥厚を認め,EUS検査で悪性疾患を疑う不整な壁肥厚を認めた.ERC検査で中部胆管に狭窄を認め,IDUS検査で壁内に2mm大の嚢胞様の無エコー域が散見された.経口胆道鏡検査で狭窄部に拡張血管を伴わない均一な顆粒状隆起を認め炎症性変化の可能性が示唆された.組織検査で悪性所見は認めなかったが,画像上胆管癌の可能性が否定できず外科手術を施行し,術後病理組織で胆管腺筋腫症と診断された.胆管腺筋腫症の報告は少なく,報告例では胆管癌と鑑別が困難とされるが,胆道鏡は診断の補助になると考える.過去の報告で胆管癌の合併は無いが,病理組織で胆管上皮は胃型化生を呈しており悪性化のリスクは否定できず,治療方針としては外科手術が望ましい.また術前に診断できる場合は縮小手術の適応があると考える.

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© 2016 日本胆道学会
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