胆道
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症例報告
内視鏡的に摘出し得た迷入胆管プラスチックステントを核としたstent-stone complexの1例
山本 健治郎祖父尼 淳土屋 貴愛辻 修二郎鎌田 健太郎田中 麗奈殿塚 亮祐本定 三季向井 俊太郎藤田 充朝井 靖二糸井 隆夫
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2017 年 31 巻 1 号 p. 136-141

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抄録

症例は81歳,女性.総胆管結石,胆管炎に対して内視鏡的胆管ステント留置術が行われ,ステント留置の上,ウルソデオキシコール酸(UDCA)の内服により経過観察となっていた.その後ステントが迷入し抜去困難となったため当院紹介となった.ERCPを行い迷入した胆管ステントを把持鉗子で抜去すると,胆管ステントとこれを核とする4cm長の結石の複合体となるstent-stone complex(SSC)が除去された.結石成分はUDCAとビリルビンカルシウムの成分を有するものであった.SSCとは,ステントを核に形成された結石で胆管ステントの合併症である.いまだ報告は少ないもののハイリスクの高齢者に対する総胆管結石の治療においては胆管ステントを長期に留置する場合もあり,今後SSC症例が増える可能性はある.また結石の成分結果よりステント留置に対するUDCA内服は結石を誘発する可能性も考えられる.今回我々は,内視鏡的に摘出し得た迷入胆管ステントを核としたSSCの1例を経験したので報告する.

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© 2017 日本胆道学会
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