胆道
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31 巻, 1 号
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第52回日本胆道学会学術集会記録
会長講演
  • 峯 徹哉
    2017 年31 巻1 号 p. 31-38
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    胆膵内視鏡はERCPの開発から始まり,その後ESTの手技が開発され,胆膵内視鏡治療は非常に進歩を遂げた.胆道ドレナージについて,腫瘍などによる閉塞性黄疸に対してplastic stentの改良がなされ,その後メタリックステントの開発が進んだ.EUSの時代となり,腫瘍の生検や消化管を通じて胆管ドレナージ(EUS-BD)ができるようになった.しかし,現在もなおERCP後膵炎は,重大な偶発症であり,我々はERCP後膵炎ガイドラインを作成した.

日本胆道学会認定指導医養成講座
  • 長谷部 修
    2017 年31 巻1 号 p. 39-48
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    悪性胆管閉塞に対する内視鏡的胆道ドレナージの動向について,切除可能例と切除不能例,遠位胆管閉塞と肝門部胆管閉塞に分けて解説した.切除不能遠位胆管閉塞と切除可能肝門部胆管閉塞に関しては,ほぼコンセンサスが得られている.一方,切除可能遠位胆管閉塞に対する胆道ドレナージに関しては,そもそも術前胆道ドレナージが必要なのか,必要とすればplastic stentとcovered metallic stentのどちらがよいかが問題となっている.また切除不能肝門部胆管閉塞に対する胆道ドレナージに関しては,plastic stentかmetallic stentか,片葉か両葉か,両葉metallic stentingの場合にはstent in stent法とside by side法のどちらがよいかが未解決である.いずれにしても切除可能例では外科医と連携をとった術前胆道ドレナージを行うこと,切除不能例ではre-interventionを考慮したstentingを行うことが重要である.

原著
  • 枡 かおり, 伊藤 啓, 越田 真介, 菅野 良秀, 小川 貴央, 柾木 喜晴, 野田 裕
    2017 年31 巻1 号 p. 62-68
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    Roux-en-Y(R-Y)再建腸管後胆管結石症39例のバルーン小腸内視鏡の治療成績について検証した.使用スコープは,SBE(シングルバルーン小腸内視鏡)9例,short DBE(ダブルバルーン小腸内視鏡)7例,short SBE23例であった.乳頭到達率は85%,スコープ別ではSBE 56%,short DBE 71%,short SBE 100%であった.処置完遂率は74%,スコープ別ではSBE 33%,short DBE 71%,short SBE 91%であった.早期偶発症は15%(軽症膵炎2,軽症胆管炎3,誤嚥性肺炎1)あったが,保存的加療で改善した.R-Y再建後腸管胆管結石症の治療において,short SBEは,高い乳頭到達率,処置完遂率であり,有用と考えられた.

  • 岡田 菜実, 草塩 公彦, 松本 正成, 宇田川 郁夫
    2017 年31 巻1 号 p. 69-77
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)は胆嚢壁に肉芽腫を形成する胆嚢炎の一亜型で,高度な炎症により腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)に難渋する例が多い.XGCの臨床的特徴を明らかにする目的で,過去5年間に当院においてLCを施行されたXGC13例について後方視的に検討を行った.XGC全例に急性胆嚢炎または急性胆管炎を発症した既往があったが,炎症の急性期に緊急LCを施行された症例は認めなかった.また,緊急LCを施行された急性壊疽性胆嚢炎46例と比較検討した結果,XGCの方が手術に難渋した傾向を認めた.臨床経過の検討から,XGCは胆嚢に生じた急性炎症が慢性炎症に移行する過程で発症する可能性が示唆された.急性胆嚢炎に対して積極的に早期LCを施行することでXGCへの移行を予防し,LCに難渋する症例を軽減できる可能性がある.

総説
  • 梛野 正人, 江畑 智希, 水野 隆史, 横山 幸浩, 伊神 剛, 菅原 元
    2017 年31 巻1 号 p. 78-86
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    肝動脈の切除再建(しばしば門脈の切除再建も必要)を伴う肝切除術は,肝門部領域胆管癌に対する手術の中で最も難しい術式である.過去に文献上報告された症例を全て足してもせいぜい250例程度であり,その手術死亡率も高く(近年,その安全性は向上してきているようだが),この手術が肝門部領域胆管癌の予後を真に改善するかどうかは未だ明らかではない.筆者らは2015年12月までに,134例の肝門部領域胆管癌に本手術を行った(門脈との同時切除再建96例,肝動脈のみの切除再建38例).手術関連死亡を含む5年生存率は約30%であり,5年生存例は実数で20例を超え,10年生存も2例(いずれも無再発)得られている.かかる事実は,動脈や門脈に浸潤した高度局所進行癌といえども,それはあくまで“局所”の問題であり,適切な拡大手術を行えば完全に治る症例があることを示している.化学療法の無力さを考慮すれば,適応のある症例に本手術を積極的に行う意義は十分ある.

  • 良沢 昭銘
    2017 年31 巻1 号 p. 87-92
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy;EST)は総胆管結石に対する標準的治療として行われるほか,各種胆道内視鏡下の診断や治療に際して適応がある.ESTを安全かつ確実に実施するためには,基本的な指針が必要である.日本消化器内視鏡学会は,科学的な手法で作成した基本的な指針として,「EST診療ガイドライン」を作成した.本ガイドラインでは,適応,手技,特殊な症例への対処,偶発症,治療成績,術後経過観察の6つの項目について計23個のClinical Question(CQ)を作成し,各CQに対するステートメントと解説文という形で構成されている.本稿では「EST診療ガイドライン」の要点について述べる.

症例報告
  • 夏目 まこと, 奥村 文浩, 佐野 仁, 福定 繁紀, 安部 快紀, 水島 隆史, 近藤 啓, 西 祐二, 坂 哲臣, 内藤 格, 林 香月 ...
    2017 年31 巻1 号 p. 93-101
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    症例は25歳女性,主訴は腹痛.胆石が疑われ当院紹介受診,腹部超音波,CTおよびMRCPにて胆嚢に隣接する辺縁低エコーで内部に石灰化を含んだ嚢胞性病変を認めたが,胆嚢管との交通は指摘されず経過観察となった.のちに胆嚢内胆石と総胆管結石を認め入院,ERCPおよび胆道チューブ造影では総胆管内に透亮像と左肝管から分岐した胆嚢管と線状の導管を介して連続する嚢胞性病変を認めた.総胆管結石を合併する胆嚢内結石,重複胆嚢と診断し,内視鏡的に総胆管結石を結石除去後に開腹胆嚢摘出術を施行.術後標本造影では胆嚢管と胆嚢管に流入する別の線状の索状物を有する嚢胞性病変との間に交通を確認した.病理組織では嚢胞性病変に胆嚢上皮と考えられる腺管構造と筋層構造を共に認め,重複胆嚢と矛盾しない所見であった.重複胆嚢と診断された自験例を文献的考察と共に報告する.

  • 菊山 正隆, 榎田 浩平, 白根 尚文, 青山 春奈, 金本 秀行
    2017 年31 巻1 号 p. 102-110
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    症例1は78歳,男性.症例2は66歳,男性.症例1は大腸癌術後の経過観察中に,症例2は早期胃癌術前検査中に,いずれも造影CTで胆嚢に造影効果を伴う隆起性病変が認められた.MRI-T1強調画像で病変が低信号を呈さないこと,MRI-T2強調画像で病変内高信号スポットが存在すること,EUSで病変基部に小嚢胞を含む壁肥厚を認めること,造影CTでmucosal line,超音波検査でinnermost hyperechoic layerと表現される胆嚢壁の内腔側の層構造に断裂がなく連続性を認めること,の4項目が2症例に共通した画像所見として認められた.2例とも胆嚢癌との鑑別が困難であったため手術が行われ,いずれも病理組織学的に胆嚢腺筋腫症を背景に発生しており,症例1は結石を中心として高度炎症細胞浸潤,症例2は線維増生および筋線維の介在を認めた.今回認められた画像的特徴は,胆嚢隆起性病変の鑑別において,非腫瘍を示唆する所見の可能性がある.

  • 大澤 高陽, 駒屋 憲一, 有川 卓, 小松 俊一郎, 倉橋 真太郎, 佐野 力
    2017 年31 巻1 号 p. 111-118
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    症例は73歳女性.閉塞性黄疸で紹介受診.肝,十二指腸,膵頭部,横行結腸へ浸潤を伴う胆嚢癌と診断した.予定術式を肝右葉尾状葉切除兼膵頭十二指腸切除,横行結腸部分切除とし,減黄後に経皮経肝門脈塞栓術を施行.処置後3日目に39.9℃の発熱を認め,血液培養からStaphylococcus属が検出された.3週間に及ぶ広域抗生物質の投与,胆管チューブ交換を行ったが血液培養は陰性化せず,解熱しなかった.血液濾過透析とエンドトキシン吸着療法を施行した所,直ちに解熱し,血液培養は陰性化した.22日間の解熱期間の後に,予定術式を施行した.膵液漏を認めたが,保存的に軽快し術後45日目に退院した.本症例の経過が,胆道癌治療における術前の難治性感染症に対して参考になると考え報告する.

  • 本多 正幸, 金 達浩, 小川 史洋, 西口 遼平, 小島 成浩, 山本 洋太, 梅本 淳, 坂本 嗣郎
    2017 年31 巻1 号 p. 119-128
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    症例は83歳の男性で,黄疸を指摘され当院を受診した.腹部CTにて胆嚢体部と膵頭部に遷延性の造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.遠位胆管は膵頭部腫瘍により狭窄し,肝側胆管は拡張していた.ERCPでは膵・胆管合流異常を認めなかった.PET-CTで両者に高い集積像を認めた.以上より膵頭後部孤立性リンパ節転移を伴う胆嚢癌,あるいは胆嚢胆管重複癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術・胆嚢肝床切除・門脈合併切除再建・下大静脈楔状部分切除術を施行した.病理組織学検査では胆嚢病変は中分化型腺癌,膵頭部病変は腺扁平上皮癌であり,両者に連続性を認めないことから同時性重複癌と診断した.膵・胆管合流異常症を認めず,胆嚢癌の膵頭後部孤立性リンパ節転移による胆管浸潤との鑑別に難渋した胆嚢胆管重複癌の稀な1例を経験したので報告する.

  • 旭吉 雅秀, 七島 篤志, 和田 敬, 土持 有貴, 濵田 剛臣, 矢野 公一, 今村 直哉, 藤井 義郎
    2017 年31 巻1 号 p. 129-135
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    症例は81歳,男性で閉塞性黄疸を伴う遠位胆管癌と診断され手術目的で入院した.腹部CT検査で腹腔動脈が確認できず,膵頭アーケードを介する上腸間膜動脈からの血流が肝動脈の主供血路となっており,脾動脈と上腸間膜動脈との間で背側膵動脈の発達を認めた.血管造影検査下にバルーンを用いて膵頭アーケードの動脈を遮断して背側膵動脈を介した肝動脈への血流を確認し,膵頭アーケードを塞栓する血行改変術を行った.手術は,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し,術中に上腸間膜動脈から分岐する背側膵動脈および肝動脈への血流を確認した.

    膵頭部領域の手術では,血管走行の破格が多いことを常に念頭に置いて画像での評価および術前のシミュレーションを行うことが重要である.手術を安全に行い,術後の合併症を軽減するためには,症例に応じて血行改変を行う必要があると思われた.

  • 山本 健治郎, 祖父尼 淳, 土屋 貴愛, 辻 修二郎, 鎌田 健太郎, 田中 麗奈, 殿塚 亮祐, 本定 三季, 向井 俊太郎, 藤田 充 ...
    2017 年31 巻1 号 p. 136-141
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    症例は81歳,女性.総胆管結石,胆管炎に対して内視鏡的胆管ステント留置術が行われ,ステント留置の上,ウルソデオキシコール酸(UDCA)の内服により経過観察となっていた.その後ステントが迷入し抜去困難となったため当院紹介となった.ERCPを行い迷入した胆管ステントを把持鉗子で抜去すると,胆管ステントとこれを核とする4cm長の結石の複合体となるstent-stone complex(SSC)が除去された.結石成分はUDCAとビリルビンカルシウムの成分を有するものであった.SSCとは,ステントを核に形成された結石で胆管ステントの合併症である.いまだ報告は少ないもののハイリスクの高齢者に対する総胆管結石の治療においては胆管ステントを長期に留置する場合もあり,今後SSC症例が増える可能性はある.また結石の成分結果よりステント留置に対するUDCA内服は結石を誘発する可能性も考えられる.今回我々は,内視鏡的に摘出し得た迷入胆管ステントを核としたSSCの1例を経験したので報告する.

胆道専門医講座 ⑪胆道癌取扱い規約 第6版
第1回 改訂のコンセプトと要点
  • 大塚 将之, 清水 宏明, 吉富 秀幸, 古川 勝規, 宮崎 勝
    2017 年31 巻1 号 p. 142-145
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

    2013年11月に胆道癌取扱い規約は10年ぶりに改訂され,第6版として上梓された.今回の改訂では外科切除例のみならず臨床例すべてを対象とし,国際標準に対応すべく,解剖学的区分や最終的な進行度は原則,UICC/AJCC分類にあわせている.局所進展度も原則,UICC/AJCCのT分類にのっとっているが,今後の改訂にむけて重要と考えられる部分は,“Japanese rules”として,主に亜分類のかたちで取り入れられた.リンパ節転移は群分類を廃止し,領域リンパ節を定義した.外科切除縁における癌浸潤の評価は,単純に癌陽性と陰性にわけ,肉眼的,組織学的に評価することとした.根治度評価もUICC/AJCC分類にならい,R評価を採用したが,R1症例のうち,胆管上皮内進展については“cis”を付記し,これを区別した.病理学的分類にも国際的なWHO分類をとりいれた.

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