胆道
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症例報告
腹腔動脈幹閉塞に対し血行改変後に膵頭十二指腸切除術を行った遠位胆管癌の1切除例
旭吉 雅秀七島 篤志和田 敬土持 有貴濵田 剛臣矢野 公一今村 直哉藤井 義郎
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2017 年 31 巻 1 号 p. 129-135

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抄録

症例は81歳,男性で閉塞性黄疸を伴う遠位胆管癌と診断され手術目的で入院した.腹部CT検査で腹腔動脈が確認できず,膵頭アーケードを介する上腸間膜動脈からの血流が肝動脈の主供血路となっており,脾動脈と上腸間膜動脈との間で背側膵動脈の発達を認めた.血管造影検査下にバルーンを用いて膵頭アーケードの動脈を遮断して背側膵動脈を介した肝動脈への血流を確認し,膵頭アーケードを塞栓する血行改変術を行った.手術は,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行し,術中に上腸間膜動脈から分岐する背側膵動脈および肝動脈への血流を確認した.

膵頭部領域の手術では,血管走行の破格が多いことを常に念頭に置いて画像での評価および術前のシミュレーションを行うことが重要である.手術を安全に行い,術後の合併症を軽減するためには,症例に応じて血行改変を行う必要があると思われた.

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© 2017 日本胆道学会
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