2017 年 31 巻 1 号 p. 78-86
肝動脈の切除再建(しばしば門脈の切除再建も必要)を伴う肝切除術は,肝門部領域胆管癌に対する手術の中で最も難しい術式である.過去に文献上報告された症例を全て足してもせいぜい250例程度であり,その手術死亡率も高く(近年,その安全性は向上してきているようだが),この手術が肝門部領域胆管癌の予後を真に改善するかどうかは未だ明らかではない.筆者らは2015年12月までに,134例の肝門部領域胆管癌に本手術を行った(門脈との同時切除再建96例,肝動脈のみの切除再建38例).手術関連死亡を含む5年生存率は約30%であり,5年生存例は実数で20例を超え,10年生存も2例(いずれも無再発)得られている.かかる事実は,動脈や門脈に浸潤した高度局所進行癌といえども,それはあくまで“局所”の問題であり,適切な拡大手術を行えば完全に治る症例があることを示している.化学療法の無力さを考慮すれば,適応のある症例に本手術を積極的に行う意義は十分ある.