2017 年 31 巻 2 号 p. 259-264
術前に胆道走行異常を同定し,その後の検討で副交通胆管枝と診断した1例を経験したので報告する.症例は58歳女性.慢性胃炎,子宮筋腫の経過観察中の腹部超音波検査で胆嚢結石を指摘され,手術目的に当科紹介となった.術前のMRCPで後区域枝から胆嚢体部に向かう胆管枝を認めた.腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,術中に胆嚢管に加えて既知の胆管枝を確認でき,病理所見と合わせて副交通胆管枝と診断した.術前にMRCPを行うことで,胆道走行の解剖学的変異を事前に同定することができ,腹腔鏡手術の安全性向上につながると考えられた.