胆道
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日本胆道学会認定指導医養成講座
乳頭部腫瘍の診断と治療
浅野 之夫堀口 明彦
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2018 年 32 巻 2 号 p. 201-208

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抄録

十二指腸乳頭部癌の治療成績向上には,的確な進展度診断と確実なリンパ節郭清を伴う手術が必要である.詳細な診断にはEUS・IDUSの役割が大きく,その進展度診断をもとに治療法が決定される.胆道癌診療ガイドラインでは,腫瘍を認めた場合,膵頭十二指腸切除術が推奨されている.しかし,Oddi筋に達しない腫瘍(T1a)であれば,リンパ節転移の可能性はきわめて低く,乳頭切除術の適応も検討される.膵頭十二指腸切除術が行われる場合,膵切除に先駆け流入動脈を結紮処理することにより,出血量を抑えた安全な手術が可能であり,また,No.14リンパ節の郭清を確実にすることができる.腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は,リンパ節郭清の必要のない症例に対してのみ,施行可能であり,現時点での適応には厳密な症例選択が必要である.ロボット支援による腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は膵管空腸吻合術など繊細な手技には威力を発揮し,今後保険収載が望まれる.

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© 2018 日本胆道学会
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