2018 年 32 巻 4 号 p. 755-762
症例は66歳男性.前医腹部超音波検査で胆嚢腫瘍を指摘され,当院へ精査目的に紹介.腹部造影CTでは胆嚢頸部に腫瘍が存在し,右肝動脈および肝実質との境界は一部不明瞭であり,浸潤を疑う所見であった.胆嚢頸部癌の術前診断で右肝切除・尾状葉切除術を企画したが,残肝予備能不足が強く懸念された.門脈塞栓術による十分な残肝量の増大は不確実と判断し,肝床部を含む左肝切除・尾状葉切除・右肝動脈切除再建術を施行した.術中右肝動脈は腫瘍と近接し,温存不可能と判断した.再建動脈に血栓を生じ,3度の再吻合を要した.手術時間1011分,出血量642ml.術後は肝後区域に一部梗塞域を認めたが,術後17日目に軽快退院した.病理所見:胆嚢癌,高分化型腺癌,pT3aN1M0 Stage IIIBであった.術後2年6カ月現在,無再発で外来通院中である.胆嚢癌に対する本術式の報告は稀少であり,残肝量不足が懸念される場合の選択肢の一つとして考慮しうる.