胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
原著
TG18からみた,急性胆嚢炎に対するPTGBDの有用性・安全性に関する検討
阿部 紘大鈴木 慶一
著者情報
キーワード: 急性胆嚢炎, PTGBD, TG18
ジャーナル フリー

2019 年 33 巻 1 号 p. 92-100

詳細
抄録

Tokyo Guideline 18で推奨されている中等症以上の急性胆嚢炎の治療戦略に則り,急性胆嚢炎に対するPTGBDの功罪について考察した.2012年1月から2017年12月までに当院で治療された146例を対象に,重症度に応じてPTGBD群と非施行群とに分け比較検討した.146例のうち中等症61例,重症18例だった.PTGBDは中等症で25例,重症で9例に施行された.中等症においてPTGBD群は手術成績や退院可能までの期間では有意差は無かったが,PTGBD群のうち手術しなかった13例は,手術群よりも退院可能,食事開始,炎症改善日数が長かった.重症例では手術施行例は10例あり,PTGBD群は全例腹腔鏡で施行され出血量が少なく転帰も良好だった.一方PTGBD非施行群で手術を受けた5例中4例が開腹手術となり3例は術中輸血を要した.中等症の場合,高リスク患者ではPTGBDにより安全に手術できると考えられるが,超高齢でPS不良の場合,PTGBDはむしろ長期入院となる傾向があるため,慎重な患者選択が必要である.重症の場合,PTGBDにより低侵襲で安全に手術できる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2019 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top