2020 年 34 巻 4 号 p. 672-679
症例は78歳女性.近医で,腹部超音波検査で肝内胆管の拡張を認め,当院を紹介された.造影CTで,左肝管近傍に内部が低吸収で辺縁がやや造影される2cm大の腫瘤があり,右肝管,前区域枝にも接しており,肝内胆管は拡張していた.ERCPでも左肝管,前区域枝に狭窄があり,胆汁細胞診,胆管擦過細胞診は陰性であった.胆管鏡(spyglassⓇ)を用いて観察すると,左肝管に狭窄と発赤があり,生検を行ったが癌の診断は得られなかった.しかし,腫瘤形成型の肝内胆管癌の可能性など,癌の否定も困難であり,手術の方針とした.肝左3区域切除,尾状葉切除,肝外胆管切除再建を行った.術後は胆汁漏がみられたがドレナージで軽快し,第42病日に退院した.病理組織診で,腫瘤は線維化と炎症細胞のみで,腫瘍性病変はなく,肝炎症性偽腫瘍と診断した.