2020 年 34 巻 4 号 p. 748-757
症例は78歳男性.前医の腹部超音波検査にて肝尾状葉を中心とした嚢胞性病変を指摘され,精査目的に当科紹介となった.来院時,腹部症状や肝機能異常は認めず,腹部造影CTでも内部に充実成分を認めなかったため肝嚢胞として18カ月間の経過観察を行っていたが,徐々に嚢胞性病変の増大とともに,内部にFDG-PETで異常集積を示す充実成分の出現を認めた.ERCP下では胆管との交通は認めず,肝粘液嚢胞腺癌の診断で肝左三区域切除,肝外胆管切除術を施行した.病理組織検査では,明らかな卵巣様間質は見られず,MUC1強陽性を示すpancreatobilliary typeを主体とした胆管内乳頭状腫瘍(Intraductal papillary neoplasm of bile duct:IPNB)の診断で,一部に浸潤癌を伴っていた.今回,我々は経過観察中に形態学的変化を捉えたIPNBの一例を経験したので報告する.