胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
症例報告
胆嚢癌を合併した胆嚢捻転症の1例
仁科 勇佑赤堀 浩也寺田 好孝太田 裕之森谷 鈴子
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 35 巻 2 号 p. 175-181

詳細
抄録

症例は93歳女性.腰椎圧迫骨折で他院入院中に右季肋部痛を認めた.腹部CT検査で腫大した胆嚢を認め,急性胆嚢炎の診断で手術加療目的に当科紹介となった.当院で再検したCT検査で浮腫性の壁肥厚を伴う著明な胆嚢腫大を認め,一部の胆嚢壁は連続性が不明瞭だったため壊疽性胆嚢炎の診断で同日緊急手術を腹腔鏡下に行った.胆嚢周囲に腹水を認め,頸部で反時計回りに約2回転捻転した胆嚢を認めた.捻転を解除し,胆嚢動脈,胆嚢管の処理を行い,腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.胆嚢内部には結石を数個認めた.また粘膜は広範囲に壊死性変化を来しており体部に認めたポリープ様の平坦隆起性病変から,病理組織検査でwell differentiated adenocarcinomaが検出され,胆嚢癌と診断された.術後合併症を認めず術後15日目に前医に転院となった.今回我々は胆嚢癌を合併した胆嚢捻転症の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2021 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top