2021 年 35 巻 2 号 p. 197-204
症例は53歳女性.咳嗽を主訴に近医受診し,黄疸を認め,血液検査上,肝胆道系酵素の上昇があり当科を紹介された.造影CT検査にて,右肺上葉と右主気管支起始部に腫瘍を認めた.一方で,膵頭部周囲の腫大リンパ節とともに,遠位胆管に造影効果を伴う壁肥厚による狭窄を認めた.気管支鏡検査では右主気管支入口部に腫瘍があり生検の結果,原発性肺腺癌と診断した.またERCにて遠位胆管狭窄を認め,同部位に生検を施行し,ステント治療による減黄術を行った.同組織診の結果から,肺腺癌膵周囲リンパ節転移による遠位胆管狭窄と診断した.その後,全身化学療法を導入し,3コース施行後の造影CTでは胆管狭窄の改善を認め,治療開始後18カ月の時点で胆管狭窄の再燃なく経過している.
肺腺癌の膵周囲リンパ節転移による遠位胆管狭窄に対して,全身化学療法が奏功し胆管ステントが不要となった症例は比較的稀であると考えられるため報告する.