われわれは腹腔鏡下胆嚢摘出術に際して,Rouvière溝と方形葉(S4)基線の右端(肝門板と胆嚢板の境界)を遠景で観察して胆嚢(板)の位置を確認することと,漿膜下層内層(SS-inner)を露出する層で鈍的剥離を行うことを胆管損傷回避のための必須手順として標準化して行ってきた.しかし,S4基線の右端の定義には曖昧さが残っており,また,SS-innerと類似した肝外胆管の線維筋層(FM)表面は胆嚢のSS-inner表面と見誤ることがある.手術手技の標準化は安全性向上のために有効であるが決して万能ではなく,不注意や思い込みによるエラーまでを完全に防ぐことはできない.手術の確実性や安全性を高めるためには,適切に標準化された手術手技を習得するとともに,様々なピットフォールを予め認識して,危険個所では慎重に手術を進めることが重要である.