偶発胆嚢癌は腹腔鏡下胆嚢摘出術の進歩とともに増加しているが,T1b(MP)以上,特にT2(SS)以上であった場合には追加切除が推奨される.T2(SS)胆嚢癌では胆摘+胆嚢床切除+肝外胆管切除+D2郭清からなる拡大根治的胆嚢摘出術,いわゆるGlenn手術が基本的な根治術式とされるが,偶発胆嚢癌の追加切除もこの術式を基本に行われる.当科で最近良性胆嚢疾患の診断で手術を行った3,061例中偶発胆嚢癌は48例(1.6%)で,うち再発は19例(40%)であった.追加切除は11例(23%)で全て二期的に開腹で行われ,再発は3例にみられていた.胆嚢摘出時には緊急手術であろうとも術前には胆嚢癌を念頭に置いた十分な画像診断を行い,胆嚢癌が疑われる場合には術中胆汁漏出の可能性が少ない全層胆摘が望ましく,術後T1b以上の胆嚢癌と診断された場合には追加切除を考慮すべきである.
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