2022 年 36 巻 4 号 p. 515-523
症例は78歳,男性.肝外側区域の嚢胞性腫瘤の精査目的に受診した.画像所見では肝外側区域に造影効果を有する結節を伴う多房性嚢胞性腫瘤を認めた.胆管造影では嚢胞性腫瘤とB3胆管枝との交通が確認された.胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)と診断し,腹腔鏡下肝外側区域切除術を施行した.病理組織学的に腫瘍は主として粘液産生性を有する異型円柱上皮の乳頭状増殖巣からなり,胆管内を裏打ちしていた.多くが中等度程度の細胞異型で,嚢胞壁のごく一部にのみ浸潤しており,IPNB由来浸潤癌と最終診断した.IPNBについては,亜分類法や乳頭型胆管癌との鑑別など,現在もその病態については議論が行われている.本症例は典型的なIPNBの画像所見を呈し,病理組織学的にもIPNBとして矛盾しない.その中で嚢胞壁内に微小浸潤部を有し,浸潤癌への進展過程を捉えた希少な症例と考えられた.