2022 年 36 巻 4 号 p. 531-536
症例は56歳男性.黄疸のため当科へ入院した.画像診断で胆囊壁の高度肥厚,多発肝転移,多発リンパ節転移を認め,進行胆囊癌が疑われた.ERCPでは膵管合流型の膵・胆管合流異常を認め,胆嚢は造影されず,肝門部胆管から遠位胆管に高度狭窄を認めた.胆汁細胞診および胆管ブラシ細胞診でN/C比の高い異型細胞の「木目込み細工様」,「Indian file状」の集塊を認め,神経内分泌細胞癌(Neuroendocrine carcinoma:NEC)が疑われた.このため超音波下肝腫瘍生検を行い,NECと診断した.CBDCA,VP-16併用療法を施行し,約3カ月間SDであった.本症例はCEA,CA19-9高値を伴い,腺癌成分を併存する可能性はあるが,進行例であっても胆汁細胞診を含めて病理学的検索を積極的に行うことが化学療法の選択につながると考えられた.