2023 年 37 巻 1 号 p. 122-129
原発性硬化性胆管炎(PSC)は大小様々な胆管に線維性狭窄を生じ,最終的に肝硬変に至る進行性の難治性疾患である.疾患特異的なバイオマーカーが存在せず,ERCPによるPSCに特徴的な胆管像の有無で診断するしかないのが現状である.治療に関しては日本,アメリカ,ヨーロッパでそれぞれ診療ガイドラインが出版されており参考となる.しかし未だ生命予後の延長効果が証明された薬物療法はなく,薬効の評価方法とともにPSC診療の最大の課題である.総胆管1.5mm以下,肝門部1mm以下の胆管狭窄はDominant strictureと定義され,黄疸や胆管炎の原因となる.適切な内視鏡的バルーン拡張術は胆汁の流れを改善するだけでなく生命予後も改善する.肝移植のないPSC患者の最大の死因は胆管癌であり,ERCPの際は病理学的スクリーニングを行う.PSCは世界的に増加傾向にあるため,今後診療する機会が増えると予想される.