近年の腸内細菌の解析技術の進歩により,様々な肝胆道疾患において増加,または減少する腸内細菌が報告されている.腸管と肝臓は門脈を介して交通があり,腸内細菌の構成異常,腸管バリアの脆弱化,腸内細菌およびその代謝産物の腸管外へのbacterial translocation,宿主免疫の活性化などが腸肝軸を介した胆道疾患の発症,進展機序の一つとして報告されているが,未解明な点も多い.本稿において,臨床サンプル,モデル動物を用いた原発性硬化性胆管炎をはじめとする胆道疾患における病態への腸内細菌の関与の報告,さらに腸内細菌の診断バイオマーカー,治療標的としての有用性について概説する.