2025 年 39 巻 1 号 p. 71-77
症例は95歳,男性.主訴は発熱,咳嗽.統合失調症で前医に75年間入院していた.前医にて発熱と咳嗽が生じ誤嚥性肺炎の診断で抗生剤が投与されたが,軽快しないため胸腹部造影CTが撮像された.その結果,急性胆嚢炎と胆嚢穿孔に伴う左横隔膜下膿瘍と診断され,精査加療目的で当院へ紹介となった.膿瘍形成部位が非典型的であったため上部消化管穿孔の併存を疑ったが,上部消化管内視鏡検査では腫瘍や潰瘍性病変を指摘できず緊急手術の方針となった.腹腔鏡下胆嚢摘出術および腹腔内洗浄ドレナージを行った.術中,胆石や胆泥を認めず無石性胆嚢炎と診断した.超高齢者ではあったが保存的治療を介さず,技術的にも安全に緊急手術を行え,合併症なく術後17日目に前医へ退院となった.壊疽性胆嚢炎が原因で左横隔膜下に膿瘍を形成したまれな症例を報告する.