2025 年 39 巻 4 号 p. 630-635
症例は56歳女性.近医で黄疸を指摘され紹介された.生後3カ月目に先天性胆道拡張症で手術を受けたが詳細は不明だった.上部消化管内視鏡検査で胆管開口部を同定できず経皮経肝胆道ドレナージを施行した.肝門部の拡張胆管の造影後に十二指腸球部から水平脚が造影され遠位胆管は造影されなかった.以上より十二指腸-胆管内瘻術の吻合部腫瘍と診断し膵頭十二指腸切除を行った.病理組織学的検査では拡張胆管は十二指腸上縁まで続き,総胆管とファーター乳頭の既存の連続性が失われていないため胆管十二指腸の側々吻合部を主座とした胆管癌と診断された.術後経過は良好で1年6カ月後も無再発生存中である.
先天性胆道拡張症に対する内瘻術が過去に行われていた時代があるが,発癌リスクを高める観点から現在は分流手術と胆嚢・拡張胆管切除術が推奨される.本症例は先天性胆道拡張症術後発癌の経過観察期間としても長く,至適手術の重要性が改めて示唆された.