2025 年 39 巻 4 号 p. 645-651
症例は75歳男性.心窩部痛を主訴に前医を受診.黄疸,肝胆道系酵素および腫瘍マーカーの上昇を指摘され当院を受診した.造影CTで,遠位胆管に造影効果を伴う腫瘤を認め,腫瘤から連続して,胆嚢管合流部まで壁肥厚を認めた.膵頭部には16mm大の多房性嚢胞性病変を認めた.胆道鏡で,遠位胆管に乳頭状隆起を認めたが,同部の生検で明らかな悪性の所見は得られなかった.遠位胆管癌の疑い,分枝型IPMNと診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見で,遠位胆管の腫瘍はIPNB with associated invasive carcinoma,pT1N0M0,pStageI,膵頭部の嚢胞性病変は分枝型IPMN(low grade dysplasia)と診断された.IPNBはIPMNのカウンターパートとされる疾患で,両者の併存が見られた極めてまれな症例であり,若干の文献的考察を加えて報告する.