2025 年 39 巻 4 号 p. 661-667
症例は73歳女性.黄疸精査のCTにて肝腫瘤,リンパ節腫大を認め,EUS-TAにて肝内胆管癌,リンパ節転移と診断した.入院時のD-dimerが高値であり下肢静脈超音波検査施行したところ,左下肢静脈に中枢型深部静脈血栓症(DVT)を認め,直接経口抗凝固薬(DOAC)導入した.胆管ステント留置にて黄疸改善後にGEM+CDDP+Durvalumabによる化学療法を導入した.スクリーニングの頭部MRIでは脳梗塞を認めなかったが,第14病日に意識障害あり脳梗塞を発症した.新規に左中大脳動脈の閉塞を認め,血栓回収術を施行しヘパリン点滴にて加療を行った.意識レベルは改善しリハビリ転院加療後,第78病日より抗癌剤再開した.癌関連血栓症は癌の死因で2番目に多く留意すべき合併症であるが,DVTを認めDOAC内服中であったにも関わらず脳梗塞を発症した肝内胆管癌の症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.