症例は70歳男性.心窩部痛を主訴に前医を受診し腹部超音波検査にて胆管拡張を認めた.CT検査では膵頭部に34mm大の不整な低吸収域および胆管の限局性狭窄・壁肥厚を認めた.
ERCPにて膵頭部主膵管および遠位胆管の限局性狭窄を認めており,膵頭部腫瘍による胆管浸潤が疑われた.ERCP時の胆汁・膵液細胞診にてジアルジア(ランブル鞭毛虫)の栄養体を複数認めた.メトロニダゾールにて駆虫を行った後,膵頭部腫瘍についてはEUS-FNAで腺癌と診断した.
術前化学療法の後に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.ジアルジアは第5類感染症に指定されており国内でも報告が散見される.悪性腫瘍とジアルジア感染の重複における因果関係は不明であるが,免疫不全状態とジアルジア感染についての関連性が示唆されている.本症例は心窩部痛の原因精査中に偶然見つかった比較的稀な症例であり,若干の文献的報告も踏まえて報告する.