症例は83歳,男性.多発性肝嚢胞の経過観察中,3週間前より続く右季肋部痛で当院を受診した.血液検査で肝胆道系酵素と炎症値の上昇があり,造影CTで巨大肝嚢胞に接する肝門部胆管の狭窄と肝内胆管の拡張を認めた.ERCPとintraductal USで肝嚢胞による胆管圧排狭窄を認め,内視鏡的胆道ドレナージを施行した.肝胆道系酵素は改善したが,炎症が増悪した.CTと腹部USで巨大肝嚢胞の感染を認めたため経皮経肝ドレナージと抗生剤治療を行い,炎症も改善した.閉塞性黄疸ならびに胆管炎に続発する嚢胞感染を合併した巨大肝嚢胞に対して腹腔鏡下肝嚢胞開窓術を施行した.切除した嚢胞壁に悪性所見はなかった.術後合併症なく,胆管造影で肝門部胆管の狭窄は改善した.術後9カ月で再発なく経過している.肝門部の嚢胞は増大により閉塞性黄疸ならびに胆管炎をきたし,嚢胞に感染が続発して治療が複雑化することがあり,注意が必要である.