2026 年 40 巻 2 号 p. 211-217
症例は61歳男性.右側腹部痛を主訴に紹介受診となった.来院時右季肋部に圧痛を認め,血液検査所見はWBC 10,700/μL,CRP 0.52mg/dLと軽度の炎症所見以外異常所見は認めなかった.腹部CTで胆嚢周囲の軽度脂肪織混濁を認め,急性胆嚢炎の疑いと診断し保存的治療とした.アセトアミノフェンで鎮静化した疼痛が再燃増強し,腹膜刺激症状と筋性防御が生じた.再施行したCTで肝周囲を中心に腹腔内全体に腹水貯留を認め,緊急で審査腹腔鏡の方針とした.術中所見は肝周囲中心に腹腔内に胆汁貯留と胆嚢底部に穿孔部を認め,胆汁漏出による胆汁性腹膜炎と診断した.腹腔鏡下胆嚢摘出術,洗浄ドレナージ術を施行した.術後経過は良好で術後7日目で退院した.病理検査は特発性胆嚢穿孔の診断であった.特発性胆嚢穿孔は稀な疾患であるが,上腹部痛の患者に対し胆嚢穿孔による胆汁性腹膜炎も鑑別の一つとして考慮する必要があると考えられた.