胆道
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上部または中部胆管狭窄を示した胆道癌の原発部位の検討と胆嚢管原発が示唆された症例の臨床的特徴
松本 由朗須田 耕一藤井 秀樹長堀 薫大盛 芳路松木 啓青山 英久関川 敬義山本 正之江口 英雄菅原 克彦
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1987 年 1 巻 3 号 p. 404-414

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抄録
最近3年間に教室で切除した胆道癌39例のうち,術前に上部または中部胆管癌と診断した10例の術中および切除標本の所見から,6例を胆嚢管原発癌と診断するのが妥当と考えられた.6例はいずれもFarrarの診断基準に合致しない進行胆嚢管癌と診断すべき症例で,胆管に浸潤し閉塞性黄疸を発症して発見された.
進展形式は,経粘膜性のほかに胆嚢管壁の深部方向への浸潤による胆嚢管周囲の脂肪織浸潤と, さらに胆管壁への浸潤が特微的で, リンパ節へは胆嚢癌の転移経路に類似し,12c,12b2,13a,8P,14aへの転移傾向を示すと共に,胆管癌と同様に胆管周囲の神経周囲浸潤によって,肝門部ならびに膵臓・十二指腸への進展傾向が大部分の症例に認められた.画像診断上,これら6症例は上部または中部胆管癌と異なり,胆嚢が常に緊満腫大しているのが特徴であった.
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© 日本胆道学会
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