抄録
胆石中の黒色色素はビリルビン由来の重合体であるが, 通常の測定法では定量不能であった.教室では赤外線吸収スペクトル法により黒色色素を定量可能とした.今回は胆石中のMg,Mn,Fe,Cu,Zu,Cd,Pbと胆石の構成主成分(コレステロール, ビリルビンカルシウム,黒色色素)との関係について,ビリルビンカルシウム石(ビ石)43例,混合石6例,黒色石11例で検討した. 黒色色素は黒色石63.3±20.1%(重量%),ビ石43.5±21.6%,ビリルビンカルシウムは黒色石32.7±21.7%,ビ石57.5±23.4%含まれていた.黒色石中の重金属量は,ビ石や混合石に比較して多量に含有されている傾向が認められた.特にCuはすべての胆石で最も多く含有されていた.また胆石中の重金属量は,コレステロールやビリルビンカルシウム量とは負の相関あるいは相関関係を認めなかったが,黒色色素量と重金属元素量とは正の相関関係が推察された.特にCuは推計学的には明らかな相関関係(r=0.4)は認めないが,両者には他の重金属元素に比較して,かなり強い相関関係の存在が推察された.これらの成績から,胆石中のCuは黒色色素と金属錯体を形成している可能性が示唆された.