胆道
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10 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 深沢 正樹, 別府 倫兄, 二川 俊二
    1996 年10 巻2 号 p. 113-123
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆道系疾患が肝外門脈閉塞症の原因になることはすでに知られている. 一方, 近年本症の経過中に閉塞性黄疸,胆管炎,胆管結石などを合併したとの報告が散見されるが,その詳細は必ずしも明らかではない.そこで今回,その成立に胆道系疾患が関与しない肝外門脈閉塞症11例に胆道造影を施行して, 肝内外胆管の形態の変化を観察するとともに,各種門脈造影によって得られる肝内外門脈閉塞の状態との関連を検討した.その結果,11例全例に中下部胆管を中心に2~4mmの狭窄を,7例には狭窄部より肝側の胆管に10mm以上の拡張を認め,これが本症の肝十二指腸間膜内に発達する求肝性側副血行路に起因するものであると考えられた.さらに,肝内胆管には6例に拡張を,7例には胆管壁のなだらかな凹凸による胆管径の不整や走行の彎曲化を認めることから,肝外門脈閉塞症においては高頻度に胆管狭窄や,それによる潜在的な胆汁鬱滞が存在する可能性が示唆された.
  • 吉田 順一, 千々岩 一男, 佐藤 裕, 山口 幸二, 志村 英生, 絹川 直子, 田中 雅夫
    1996 年10 巻2 号 p. 124-130
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸において,術前減黄の意義と手術リスク因子について検討した.対象は過去10年間の結石症を除く下部胆管病変による黄疸の全例(n=42)で,減黄は経皮経肝法・内視鏡法・胆嚢外瘻法のいずれかにて行われた.術後9例(21%)に合併症が生じ,このような合併症を予測する臨床的因子を,統計学的に単変量および多変量解析した.単変量解析では,総ビリルビン,トランスアミナーゼ,LDH,ALP,γ-GTP値が有意に減少していた. 多変量解析では, 減黄前の血小板数および減黄後の血小板数とクレアチニン値が, 合併症発生と正の関連を示した. 血小板増多が, 予後不良の一因子であるという文献は少ない. 結論として, 黄疸症例で術前に血小板数が多い場合や腎機能が低下している場合,手術侵襲の軽減あるいは術後管理に注意すべきと思われた.
  • 川本 徹, 轟 健, 小池 直人, 金澤 伸郎, 深尾 立, 斉藤 澄, 中村 恭一
    1996 年10 巻2 号 p. 131-137
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝門部胆管癌の肝臓側胆管進展は,切除根治性を左右する重要な因子である.そこで,全割標本の得られた58例について肝臓側胆管への癌進展様式を整理し,原発腫瘍の肉眼形態,組織型および切除縁における癌浸潤陽性頻度等との関連性について検討した.肝臓側胆管断端(hw)において癌浸潤が肝管粘膜上皮にあるが,肝管壁やグリソン鞘には癌浸潤がない粘膜型(18例),癌浸潤の先進部が粘膜上皮にはなく,肝管壁やグリソン鞘にある外膜型(35例)に分類した.ただし,粘膜と外膜の両者ともに癌浸潤陽性の5例は除外した.粘膜型では原発腫瘍の肉眼形態は乳頭型が多く,組織型は乳頭腺癌が多い.一方,外膜型は結節型や浸潤型が多い傾向にあり,低分化型腺癌5例を含み37例の管状腺癌例中31例が外膜型であった.また,切除縁における組織学的癌浸潤陽性頻度は,hwと剥離面(ew)の両者とも粘膜型より外模型に高率であった.この結果は,肝臓側胆管進展範囲の術前診断で配慮すべき重要な病理形態学的背景である.
  • 森安 章人, 伊勢 秀雄, 鈴木 範美, 北山 修, 平間 義之, 内藤 剛, 亀田 智統, 鈴木 克彦, 村上 泰介, 松野 正紀
    1996 年10 巻2 号 p. 138-143
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆石中の黒色色素はビリルビン由来の重合体であるが, 通常の測定法では定量不能であった.教室では赤外線吸収スペクトル法により黒色色素を定量可能とした.今回は胆石中のMg,Mn,Fe,Cu,Zu,Cd,Pbと胆石の構成主成分(コレステロール, ビリルビンカルシウム,黒色色素)との関係について,ビリルビンカルシウム石(ビ石)43例,混合石6例,黒色石11例で検討した. 黒色色素は黒色石63.3±20.1%(重量%),ビ石43.5±21.6%,ビリルビンカルシウムは黒色石32.7±21.7%,ビ石57.5±23.4%含まれていた.黒色石中の重金属量は,ビ石や混合石に比較して多量に含有されている傾向が認められた.特にCuはすべての胆石で最も多く含有されていた.また胆石中の重金属量は,コレステロールやビリルビンカルシウム量とは負の相関あるいは相関関係を認めなかったが,黒色色素量と重金属元素量とは正の相関関係が推察された.特にCuは推計学的には明らかな相関関係(r=0.4)は認めないが,両者には他の重金属元素に比較して,かなり強い相関関係の存在が推察された.これらの成績から,胆石中のCuは黒色色素と金属錯体を形成している可能性が示唆された.
  • 甲斐 信博, 内村 正幸, 脇 慎治, 木田 栄郎, 西脇 由朗, 北島 知夫, 室久 敏三郎, 北川 陸生, 竹平 安則, 玉腰 勝敏, ...
    1996 年10 巻2 号 p. 144-149
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    合流異常症例の臨床的な特徴をつかむ目的で,胆管および膵管の合流形態を検討した.検討項目は,1)合流部位の管末端形態に関して,(a)明らかな狭窄部分を有する,(b)相対的狭窄,(c)狭窄なし,の3型.2)共通管拡張の有無,3) 共通管以外の膵頭部膵管の拡張の有無,4)副膵管造影の有無,である.それぞれの検討項目において,胆道癌の合併,術前の肝機能障害の有無,および術前の高アミラーゼ血症の有無,について検討した.合流部位における胆管末端の形態と胆道癌併存の間には有意の関連を認め,胆管末端が明らかな狭窄を呈するものでは胆道癌の合併が少なかった.また,胆道癌を合併する症例では,統計学的な有意性をもって共通管の拡張を伴っていた.共通管以外の膵管拡張,あるいは副膵管造影に関しては,胆道癌合併,肝機能障害,あるいは高アミラーゼ血症との間には明らかな関連は認められなかった.
  • 吉田 徹, 中村 眞一, 菅井 有, 菅野 千治, 肥田 圭介, 斎藤 和好
    1996 年10 巻2 号 p. 150-154
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性で,発熱を主訴に来院した.精査の結果,30年前に胆石の手術の際に施行された胆嚢十二指腸吻合術後の総胆管結石と診断した.吻合部を含めて胆嚢を摘出し,十二指腸は一期的に閉鎖し,胆管切開切石術およびTドレナージを施行した.病理学的検索で,胆嚢十二指腸吻合部近傍胆嚢粘膜の一部に異型上皮を認めた.免疫組織学的検索で,MIB-1抗体陽性率は,38%と高値を示し,p53蛋白も陽性であった.この結果より,胆嚢十二指腸吻合部の胆嚢粘膜は,長期にわたる腸内容の逆流,うっ滞による化学的刺激が粘膜上皮の細胞回転を亢進させ,異型上皮の発生に関与する可能性が示唆された.また,癌抑制遺伝子p53も異型上皮の発生過程に関与している可能性が示唆された.
  • 小西 一朗, 二上 文夫, 上田 順彦, 広野 禎介, 斉藤 勝彦
    1996 年10 巻2 号 p. 155-161
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    慢性硬化性顎下腺炎いわゆるKuttner's tumor切除後に発症した原発性硬化性胆管炎(PSC)の1切除例を経験した.両者の合併例の報告は,われわれが検索しえた限り,これまでに見当たらない.両疾患とも,その原因の定説はないが,自己免疫の関与が強く示唆されており,原因究明に当たり興味深い症例であると考えられた.症例は62歳男性で,主訴は肝機能障害と黄疸である.1年8カ月前に無症候性の両側顎下腺腫瘍摘出術をうけ,病理診断はKuttner'stumorであった.腹部超音波検査で肝門部胆管の壁肥厚と層構造を認め,胆道造影にて同部の狭窄を認めた。細胞診では悪性所見はなくPSCの診断で胆道再建術を施行した.組織学的に,肥厚した胆管壁に膠原線維が増生し,リンパ球を主体とした慢性炎症性細胞浸潤とリンパ濾胞様の集合体がみられた.術後3年6カ月を経て,順調に経過している.
  • 土田 明彦, 粕谷 和彦, 安田 祥浩, 宮下 智之, 増原 章, 井上 敬一郎, 橋本 聖, 宇田 治, 浅見 健太郎, 小澤 隆, 青木 ...
    1996 年10 巻2 号 p. 162-168
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は67 歳, 女性. 右季肋部痛を主訴として入院. 腹部超音波, C T , 血管造影上部消化管造影にて,十二指腸球部および肝浸潤を伴う胆嚢癌と診断し,胆嚢,肝S4下・5,胆管,十二指腸球部切除術とリンパ節郭清術を施行した.病理学的進行度は,si(十二指腸),hinf3,binf3,n2のstageIVであった.組織学的に,腫瘍の大部分は高分化扁平上皮癌で,ごく一部に印環細胞癌が存在した.また,転移リンパ節(No.12b)にも同様の所見がみられた.病理組織学的形態およびKeratin染色の結果,印環細胞癌は扁平上皮癌の性質を一部保っていた.以上より,自験例は腺癌から扁平上皮癌へ形質変化し腺扁平上皮癌の形態をとったが,形質変化は腺癌から扁平上皮癌への方向だけでなく,扁平上皮癌は腺癌の性質を残し,転移などの環境の変化により再度腺癌の形態をとる可能性があると考えられた.
  • 今井 政人, 加藤 一哉, 紀野 修一, 神谷 和則, 松田 年, 葛西 眞一, 水戸 廸郎
    1996 年10 巻2 号 p. 169-174
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    高度の炎症と大網,十二指腸への癒着を伴い,副肝管を合併した慢性胆嚢炎症例に対して,腹腔鏡下に胆嚢摘出を施行しえた1症例を経験した.症例は,65歳男性.心窩部の激痛のため当院救急外来を受診し,即日入院となった.入院後の精査により,高度の炎症を伴う慢性胆嚢炎で,かつ胆嚢頸部での十二指腸との癒着が強く疑われたが,腹腔鏡下での胆嚢摘出は十分可能と判断され,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.超音波吸引装置およびendoscopic stapler等の使用と,われわれの提唱している順行性胆嚢摘出術である,Laparoscopic cholecystectomy from fundus downward(LCFD)の術式により,安全かつ確実に手術を施行しえた.また,胆嚢床に副肝管を認め,クリッピングした.本症例のように高度炎症とCalot三角部の癒着を伴う症例では,LCFD法がより安全かつ確実であり,また副肝管損傷防止のためにも有用であると思われた.
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