抄録
高度の炎症と大網,十二指腸への癒着を伴い,副肝管を合併した慢性胆嚢炎症例に対して,腹腔鏡下に胆嚢摘出を施行しえた1症例を経験した.症例は,65歳男性.心窩部の激痛のため当院救急外来を受診し,即日入院となった.入院後の精査により,高度の炎症を伴う慢性胆嚢炎で,かつ胆嚢頸部での十二指腸との癒着が強く疑われたが,腹腔鏡下での胆嚢摘出は十分可能と判断され,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.超音波吸引装置およびendoscopic stapler等の使用と,われわれの提唱している順行性胆嚢摘出術である,Laparoscopic cholecystectomy from fundus downward(LCFD)の術式により,安全かつ確実に手術を施行しえた.また,胆嚢床に副肝管を認め,クリッピングした.本症例のように高度炎症とCalot三角部の癒着を伴う症例では,LCFD法がより安全かつ確実であり,また副肝管損傷防止のためにも有用であると思われた.