胆道
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閉塞性黄疸における網内系機能の in vivo および in vitro による実験的研究
新本 修一松本 祐治片山 寛次広瀬 和郎山口 明夫中川原 儀三嶋田 紘
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1997 年 11 巻 2 号 p. 158-166

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抄録

総胆管結紮切離による閉塞性黄疸ラット(1,7,14,21日目)における網内系機能を,コンドロイチン硫酸鉄コロイド(CSFe)を用いてin vivoおよびin vitroで検討した.CSFe負荷による貧食指数K値は,単開腹ラットに比べ胆管結紮後1日目に低下した後,7日目には回復し21日目には再び低下した.CS59Fe負荷後の肝による臓器内取り込み率でも,貧食指数K値と同様の推移を示し,21日目では肺による取り込みが有意に増加した.培養Kupffer細胞の貧食能は,胆管結紮後いずれの時期の黄疸ラットでも単開腹ラットと差は認められなかった.黄疸ラットの血漿opsonin活性は,血漿濃度に比例して上昇し,30%の濃度で無黄疸ラットと有意差が認められた.血漿Fibronectinは単開腹と黄疸ラットで同様に上昇し,有意差は認められなかった.以上から,胆管結紮後1日目や21日目の閉塞性黄疸における網内系機能の低下は,個々のKupffer細胞の機能やopsonin因子以外に原因があると推察された.

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© 日本胆道学会
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