胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
非拡張型膵・胆管合流異常症例の臨床病理学的検討
原 均岡島 邦雄磯崎 博司森田 真照石橋 孝嗣仁木 正己左古 昌蔵大谷 昌裕
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 11 巻 2 号 p. 167-172

詳細
抄録

非拡張型の膵・胆管合流異常症(以下合流異常)の診断と治療につき検討したので報告する.
合流異常症例65例のうち非拡張型症例(直接胆道造影にて最大総胆管径が10mm以下)8例を対象とした.
非拡張型合流異常症8例中,男性1例,女性7例であり,平均年齢は52歳であった.症状は腹痛7例,無症状1例であった.術前診断は,すべてERCPにて合流異常と診断した.膵管胆道の合流形態(新古味分類)はIIa 6例,III c1 2例であった.
胆嚢合併病変は,8例中7例に認め,胆嚢癌3例,胆石症,腺筋症,コレステーローシス,ポリープが各1例であった.
術式は,肝外胆管切除と胆道再建が4例,膵頭十二指腸切除術,胆嚢摘出術とリンパ節郭清,胆嚢摘出術・肝部分切除とリンパ節郭清および横行結腸十二指腸部分切除,非切除各1例であった.
細胞動態(PCNA L.I.)は,合流異常合併例の胆嚢は13.8%,胆管は5.9%で,合流異常非合併例より高率であった.以上より,非拡張型の合流異常は,胆嚢に合併病変が多く診断の手がかりとなる.治療は胆嚢,胆管ともに細胞増殖活性の亢進がみられ分流手術が必要である.

著者関連情報
© 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top