胆道
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血中 DUPAN-2 が高値を呈した胆石症の1例
安井 智明山中 若樹田中 渉安藤 達也山中 潤一岡田 敏弘洪 浩基岡本 英三京 明雄柏谷 克充
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1997 年 11 巻 2 号 p. 173-178

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抄録

胆石症で,血中DUPAN-2が著しい高値を示し,胆道ドレナージと手術により血中DUPAN-2が正常化した症例を経験したので報告する.症例は64歳の女性.総胆管結石の嵌頓による黄疸が出現し入院した.血中CA19-9値およびCEA値は正常であったが,血中DUPAN-2値は170,000U/mlと高値を示した.腹部US,腹部CT,内視鏡的逆行性膵管造影,経皮経肝胆管造影で,胆嚢および総胆管結石を認め,膵腫瘍は認めなかった.減黄後,DUPAN-2は2,800U/mlまで低下し,胆嚢摘出,総胆管切石術を行った.胆嚢は萎縮し,肝十二指腸間膜に著明な炎症性肥厚を認めた.膵は正常であった.術後DUPAN-2値は正常値まで低下した.摘出胆嚢粘膜上皮の免疫染色では,DUPAN-2の強い陽性所見が認められたが,CA19-9の陽性所見はわずかであった.臨床経過および免疫染色より,胆嚢粘膜上皮より産生されたDUPAN-2が,胆嚢炎と胆道内圧の上昇により血中に漏出したものと考えられた.

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© 日本胆道学会
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